ほくろ
当院に皮膚科で来院される症状で、にきびの次に多いものです。当院では日帰り手術も行っていますが、当院の局所麻酔手術の中でも一番多い疾患になります。6mm以下のほくろは、通常「黒子(こくし)」と呼ばれていますが、胎生期に神経の色素細胞になりきれなかった細胞が母斑になるといわれています。多くの母斑は良性ですので問題ありませんが、数%で悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)と呼ばれまる悪性のものがあります。 診断では、ダーモスコピーを用いて、まずこの悪性黒色腫を見逃さないことから始めます。
ダーモスコピーによるほくろの診断
ダーモスコピーで、悪性か良性か、大体は判断できますが、これはあくまでも臨床診断で医師の視診による診断見解でしかありません。正確に、「悪性」か「良性」かを判断するためには、局所麻酔での手術による切除をし、病理検査に提出して顕微鏡で細胞を診て判断しなければいけません。実際、患者さまで「他院で悪性じゃないといわれていたけれど、最近大きくなってきました」という方が受診され、当院で日帰りの局所麻酔手術を行い、病理結果で悪性であったという症例も経験したことがあります。臨床では切除してみなければ良性と断言できないことも多く、そのときは手術を勧めます。また、生まれながらに存在する母斑はまれに悪性黒色腫に変化することがあるため、足の裏など悪性黒色腫の生じやすい部位では切除を勧めることがあります。
「ほくろ」を除去する方法
当院では、二つの方法があります。ほくろの良性悪性、大きさ、ほくろの場所、により異なります。
①局所麻酔での手術による切除:メスで切除して皮膚を縫合する方法
②レーザー:レーザーで削りとる方法 (悪性を疑う場合は禁忌です)
①ほくろの「手術による切除」について
局所麻酔をしたのちに、メスで皮膚を切開しほくろを切除します。
欠損した部分は皮膚を縫合することで閉鎖します。
- 利点
- 切除した組織を病理検査に提出しますので、悪性と良性の診断を確実にすることができます。
- 完全に切除するため、再発することはほとんどありません。
- 大きく、深くまで濃い色素があるほくろでは切除の方が適当です。
- 欠点
- 縫合するため、抜糸が必要です。
- 縫合した傷痕は残ります。半年~1年すると目立たなくなります。
②ほくろのレーザーの治療について
局所麻酔をしたのちに、レーザーでほくろを深く削ります。削った後は縫合しません。皮膚が上皮化するまでは、大きさや深さによりますが1,2週間ほど軟膏、テープ保護をしていただきます。創部が乾燥しないようにすることが大切です。その後は3ヶ月ほど遮光していただきます。
レーザー治療ではほくろを完全には除去しないため、再発が手術い比べて多いのは事実です。再発したときは、再度軽く削ります。初回から深く削るとクレーター状の瘢痕になることが多いため、初めから深く削りすぎないことがコツです。
- 利点
- 縫合しないため、抜糸が不要です。
- 手術に比べて、傷痕は残りにくいです。
- 術後のトラブル(感染症、出血など)は少ないです。
- 欠点
- 完全には切除できないため、再発の可能性があります。
- 切除した組織を検査に提出することはできませんので、悪性の場合は適応になりません。
- クレーター状に残存することがあります。
- 盛り上がりが強く、濃いほくろでは、色素が完全にとれず、最終的に切除が必要になることがあります。